B L A S T
Act.1
日差しが眩しいこの季節が真田楓はあまり好きではなかった。
外に出るのが億劫で、学校に行く気も失せてしまう。
それでもなんとか体を起こそうとしても、まだベッドに沈んだまま――。
長い髪のせいで首筋に汗がじっとりと滲む。
「暑い……」
今この部屋の気温は一体何度だろう。
まるでサウナの中で寝ているかのような気分だ。
早くシャワーを浴びたい。
でも学校に行きたくない。
起きたくない。
歯磨きしたくない。
食欲もない。
メイクもしたくない。
着替えたくない。
何をするのも面倒だ。
五月病はとうに過ぎたのに、このだるさはなんだろう。
暑いだけじゃない。
鬱になってしまったのだろうか。
そうだ。
きっと鬱病だ。
心なしか胃も痛い。
吐き気もする。
じゃあ今日は学校を休もう。
休む理由ができたのだから、親も文句は言わないだろう。
楓がそのまま二度目の眠りに入ろうとしたその時――――。