B L A S T

「ねえ、嬢ちゃん。今日来てみて変わったことない?」


タクマに言われて、辺りを見渡す。

そういえば――。


「人が増えてる…?」

「ビンゴ」


タクマが嬉しそうに指をパチンと鳴らす。

そして舞台前に立っていたテツと並んでいる男を指差した。


「あれ、"風神"のメンバー」


えっ、と楓はたじろいだ。


「大丈夫大丈夫。心配することねえよ。実はBLASTと"風神"が一つになったんだ。いわば合併ってとこ」

「合併?」

「ほらセイジがパクられたろ。それで"風神"は解散せざるをえない状況になったらしいんだけど、藤ヶ谷が残ったメンバーにBLASTに来ないかって誘いかけてみたんだ。元々あいつがトップだったわけだし、情もあったんだろうな。そしたら思いのほか人数が集まってさ、中にはセイジのことが気に食わなかった奴が結構いたみたいなんだよ。それでイツキと話し合った結果、一つになっちまうかってことで話が決まったんだ」

「それじゃあ…」

「そう。BLASTはめでたく関東一になったってわけ」

「へ、へえ…」


なんだか大がかりな話のような気がするけれど、正直BLASTが関東一と言われてもあまりピンとこなかった。

でもそれが彼らにとって喜ばしいことなわけで、なによりイツキが嬉しそうにしているのが楓にとって一番めでたいことだった。


≪いろいろお前らに迷惑かけて悪かった≫


マイクを通して、イツキが言った。


≪今日は新しく生まれ変わったBLASTの誕生だ。とことん祝うぞ≫
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