B L A S T
プレハブ一階の明かりが点いている。
窓から中を覗くと、キッチンでミネラルウォーターを口にしているイツキと、そして食卓を囲んで座っているガヤとジュンの姿が見えた。
ジュンはにこにこと笑っていて上機嫌だ。
きっとこうして三人で集まるのは久しぶりなのだろう。
邪魔しちゃ悪いと思った楓はその場を離れようとしたが、思わず足を止めた。
「気に入らねえな」
今日は少し気温が暑いからか窓が少し開いている。
その隙間からそんな声が聞こえた。
もう一度中を覗いてみると、その声の主は腕を組んで小難しそうな顔をしているガヤだった。
「気に入らないってなにが?」
とジュン。
「いやおれはこうして前みてえにお前らとつるむことができて嬉しいんだけどよ」
「えぇーよく言うよ。彬兄が勝手に怒ってただけのくせに。僕は本当に気にしてなかったのにさ」
「は?おれはお前のことを思ってだな」
「はいはい。ありがとねぇ、彬兄ちゃん」
そう言ってケラケラと笑うジュンは実は大物かもしれない。
ガヤはふてくされて舌打ちを鳴らした。
そしてイツキのほうに目を向ける。
「おいイツキ」
ミネラルウォーターを冷蔵庫の中に戻すと、イツキは振り返った。
「なんだ」
「ひとつだけお前に聞いていいか」
「…ああ」
「あの時どうしてお前はジュンを止めなかった」
一瞬の間。
ジュンが慌てて間に入った。
「彬兄。それはあの時僕が」
「ジュン」
イツキが一瞥すると、ジュンは押し黙る。
その様子を変に思ったガヤが眉をしかめた。