B L A S T
「んだあ?おれに何か隠してることでもあんのかよ」
「いや…」
とイツキは煮え切らない態度。
「やっぱり気に入らねえ」
ガヤは苛立ちを抑えるように煙草を吹かす。
そしてイツキを問いつめた。
「WAVEはあまりいい噂聞かねえことお前も知ってたろ。なのにジュンがWAVEに入るって言ったときお前は反対しなかった。それが不思議でなんねえんだよ。なんでだ?」
「…言ってもこいつが聞かなかった。それだけのことだ」
「本当かよ」
「ああ本当だ」
しばらく沈黙が続いた。
ガヤとイツキは見つめ合ったまま微動だにしない。
その間でジュンはうつむいていた。
――ど、どうしよう。
止めに入ろうか。
窓から見ても険悪なムードが漂っているのが分かる。
また二人が喧嘩するんじゃないかと楓は気が気でなかった。
やがて煙草の灰が落ちる。
「まあいいや」
そう言ってため息を漏らしたのはガヤだ。
「もう終わったことだ。おれも過去のことをいつまでもぐちぐち言いたくねえ。仕方ねえから許してやらあ」
ほっと楓は胸を撫で下ろした。
ジュンも同じ気持ちだったようで、気が抜けたように椅子に座り込んだ。