B L A S T
「まったく謝りたいなら素直に謝ればいいのに」
とジュンは呟く。
それに反応したガヤが牙を剥いた。
「今何か言ったか、てめえ」
「別に何でもなーい」
「何でもねえことねえだろうがよ。誰が素直に謝れだって?」
「聞こえてるじゃんか!」
「うるせえ!おりゃ地獄耳なんだよ」
ガヤが灰皿に煙草の吸い殻を力任せに押しつけていると、ジュンはぷっと吹き出した。
「そういうとこ楓さんにそっくり」
――なぬ!?
その聞き捨てならない言葉に思わずジュンを睨みつける。
「それよりお前、楓にちゃんと謝ったのか」
イツキは煙草に火を点けると、思い出したように言った。
「楓にひどいこと言っただろ」
「…なんでそんなこと知ってんだ」
「ジュンに聞いた」
チッ、とガヤは舌打ちを鳴らしてジュンを一瞥する。
ジュンは素知らぬ顔で口笛を吹いていた。
――あの男と関わってる限りお前はおれの敵だ。だからお前がどうしようが関係ねえ。勝手にしたらいい。
そういえばガヤにそんなこと言われてたんだったっけ。
ここのところ色々なことがあり過ぎて、ガヤと喧嘩していたことをすっかり忘れていた。
「楓はお前のこと信じてた」
「あ?」
「うちのメンバー襲われたろ。お前はやってないってずっと言い張ってた」
「……」
「そうやってずっと意地張ってるとその内逃げられんぞ」
「…余計なお世話だよ。ほっとけ」
ガヤのふてくされた態度にイツキは困り果てたように眉を寄せる。
そして口元に小さく笑みを浮かべながら静かに呟いた。
「楓のこと、ちゃんと大事にしろよ」