B L A S T

一体、イツキは彼女にあたしのことをどんな風に話したのだろう。

彼女のその笑顔はまるで小動物のように可愛らしい。

けれど楓に向けるその瞳の奥にどこか敵意が感じられた。

単なる気のせいだろうか。


「見たことねえ顔だな。お前、イツキとどういう関係だ」


ガヤの唐突な質問にぎょっとした。

ふふ、と由希が笑う。


「イツキから何も聞いてないんですね」


チャリッ、と金属音が鳴った。


「あ…」


楓は思わず声を漏らす。

彼女の胸元に釘付けになっていると、その視線に気付いた由希がそれを差し出した。


「お揃いね」


そう言って今度は由希が楓の胸元に目をやる。


「あなたのそのネックレスもイツキに作ってもらったの?」

「……はい」


いつだかイツキがあたしのために作ってくれた銀色に光る星形のネックレス。

その星は世界に一つしかないものだと思っていた。

それが由希の胸元でも同じ光で輝いている。


「イツキって器用よね。私は誕生日にもらったの。すごく気に入ってる」


嬉しそうに話す由希の顔を見て楓は黙ってうつむいた。


――一兄が女の子のために何かを作ってあげるのって珍しいなと思って。


ジュンの言葉が脳裏を過ぎる。


――一兄にとって楓さんは特別ってことか。


あたしは心のどこかで思い込んでいたのかもしれない。

イツキにとってあたしは特別なんだ、と。
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