B L A S T

気が付くとカレンダーは七月の半ばに入っていた。

あと一週間もしたら学校は夏休みに入る。

特に何も予定がない真っ白なカレンダーをじっと見つめていると、玄関のチャイムが鳴った。


「そろそろ行くぞー」


ガヤの声だ。


「今行くー」


外に出ると、ガヤはすでにバイクに跨って待っていた。


「なんだ、その顔」


楓の顔を見るなり、ガヤは顔をしかめる。


「お前鏡見たのかよ。すげえブサイクな面してんぞ」

「…ブサイクは余計よ。昨夜ちょっと寝れなかったの」

「それってあれか。恋煩いってやつ。今日久しぶりにイツキと会えるもんだから楽しみ過ぎて寝れなかったんだろ」


楓は真っ赤になってガヤの背中を叩いた。


「違うよ!怖い夢見たから寝れなかっただけ」

「お化けに追いかけられる夢でも見たか」

「…まあそんなとこ」


といっても実はよく覚えていなかったりするんだけど。

前にも一度見たことがあるような、そんな不思議な夢だった。


「着いたぞ」


バイクを走らせて数分。

BLASTのアジトに着いて驚いたのは、校庭が何百台ものの高級車とバイクで埋め尽くされていたことだった。


「これぜんぶ、今日集まる人たちの?」

「当然だろ」


そういえば、ジュンが今日の話し合いに五千人が集まるみたいなこと言ってたっけ。

あの時は実感がわかなかったけれど、こうして目の当たりにすると彼らの結束力はすごいんだなと思わず感心してしまった。

でも五千人も集めて何を話し合うことがあるのだろうか。

やっぱり暴走族の考えていることはさっぱり理解不能だった。
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