B L A S T
「んだそれ。あいつの身に何かあったんじゃねえのか」
「いや、毎日学校に連絡入れてるみてえだからその心配はないよ。それにこないだオレんとこにメール来た。"ちょっと空けるけどすぐ戻る"ってな」
「一兄はそのこと知ってるの…?」
「ああ、カズにしちゃ珍しいって話してたよ。まあオレらも高三だし、この夏が正念場だ。シュウカツでもしてんじゃねえかな」
「ふうん…。シュウカツねえ」
ガヤは地面に煙草の灰を落として言った。
「ところでシュウカツってなんだ?」
思わずその場にいた全員がずっこける。
「信じらんねえ…」
タクマはあっけにとられていて口が開いたままだ。
「シュウカツだよ、シュウカツ。就職活動の略!」
「ああ、そのシュウカツか。なるほど」
「その顔、絶対知らねえだろ。つーかお前も高三じゃん。シュウカツしてねえの?」
「うるせえな。おりゃ横文字は大嫌いなんだよ」
「横文字じゃねえし!完全に日本語だし!」
ガヤとタクマのやりとりにジュンは大爆笑だ。
楓は呆れてため息を吐く。
幼なじみながらガヤを恥ずかしく思った。
この様子じゃガヤはまだ就職先を探していないんだろう。
世間は不況の真っ只中だというのに。
彼の行く末が不安だ。