B L A S T
やっぱり今日のイツキは変だ。
さっきの由希という女と揉めていたことが関係しているのかと思っていたが、イツキの様子からしてどうもそれだけじゃないように感じた。
――…一体、なにがあったんだよ。
問いつめてもイツキの答えは変わらないだろう。
――お前には関係ない。
昔からそうだ。
人に迷惑はかけたくない、という優しさからだろうか。
イツキはなんでも一人で解決しようとする。
たまには少しぐらいおれを頼ってくれたらいいのに、と何度思ったことか。
あの時もそうだった。
確か去年の今頃だったと思う。
ジュンのあの事件が起こる前、今のようにイツキの様子が変だった時期がある。
何か気に入らないことがあれば誰かれかまわず暴力を振るい、それも生半可な喧嘩ではなく病院送りは当たり前。
学校から停学処分を何度も受けていた。
普段のイツキは静かでむやみに暴力を振るったりしない。
心配になった俺はイツキを問いつめた。
しかし、返ってきた答えは「お前には関係ない」の一言だ。
何かあったことは明確なのに、イツキはやっぱり口を閉ざしたまま。
おれは次第にイツキに対して不満を感じるようになっていた。
そしてその不満が爆発してしまったのがあの時だ。