B L A S T

「あたし暴走族に拉致られた」


間が空いた。


≪…どういうことだ?≫

「だから家に帰る途中で暴走族に拉致られたの。知らない男二人に突然車で!それで総長に会わせるとか意味の分かんないこと言ってワケの分かんないところに連れてかれて―――」

≪どこだ≫

「えっ…」


楓はたじろいだ。

顔は見えなくても、その低い声でひしひしと感じる。

今、ガヤはたぶん本気で怒ってる。


≪どこのチームだ≫

「えっチーム…」


はっとして、楓は焦った。

やばい。

そういえばあいつらのチームの名前知らなかった。

そんなこと聞く余裕なんてなかったし。

なんだっけ。
えっと。


≪チーム名じゃなくてもいい。そこがアジトならどこかにシンボルがきっとあるはずだ。早くしろ≫


ガヤに言われて、慌てて窓の外を見渡す。

シンボルらしきものは見当たらない。

すると薄暗くてよく見えないがプレハブの壁に落書きがあることに気付いた。
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