B L A S T

蒸し暑い夜だったことを覚えている。

おれとイツキ、それからタクマやカズとジュンの五人でいつものようにプレハブに集まっていた。

すると突然、ジュンがWAVEに入ると言い出したのだ。

無論、おれは反対した。

前からWAVEは評判が悪く、あのチームに入ってしまったらジュンは悪事に手を染め、取り返しのつかないことになる。

だから断固阻止した。

タクマやカズも同感だった。

けれどイツキだけは違った。


――お前の好きなようにしたらいい。勝手にしろ。


それはなかば投げやりに聞こえた。

てっきりイツキも反対するものだと思っていたおれはまったく予想していなかった展開に戸惑った。


――おいイツキ。それ本気で言ってんのかよ。

――ああ。

――WAVEがどれだけあくどい奴らかお前も知ってるはずだろ。もしジュンに何かあったらお前責任取れんのか。


イツキは灰皿に煙草を押しつけながら静かに言った。


――責任もなにもジュンはメンバーじゃない。おれには関係ないことだ。


堪忍袋の緒が切れた、というのはきっとこのことを言うのだろう。

気が付いたらおれの拳はイツキを殴っていた。


――お前ふざけんなよ!確かにジュンはメンバーじゃねえ。けど同じ仲間だ。それなのにお前はその仲間を見捨てるのかよ!


タクマやカズに取り押さえられながら、おれの不満は堰を切ったように溢れ出した。


――大体、なんでお前はなんでもかんでも一人で勝手に決めるんだよ。チームはお前だけで成り立ってんじゃねえんだ!何があったか知らねえけどちっとはリーダーとしての自覚を持ったらどうなんだ。お前の単独行動におれらがどれだけ迷惑してんのが分かんねえのか。リーダーならチームの和を乱すような真似すんじゃねえよ!
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