B L A S T
そこまで言ってはっとした。
イツキがじっとおれを見上げている。
それはひどく悲し気で今までに見たことのない目をしていた。
――彬兄。違うよ。一兄は悪くない。
ジュンがぽつり、と呟く。
それからおれたちに向かって頭を下げた。
――ごめん。BLASTは好きだけど、今のBLASTは好きじゃないんだ。
――…どういう意味だ?
ジュンはうつむいたままで答えようとしなかった。
結局、最後までおれの説得に耳を貸すことなく、ジュンはその場を立ち去った。
――ごめんね。
その一言だけをイツキに残して。
そして三ヶ月が立ち、あの無情な事件が起きた。
今でもあの光景は鮮明に覚えている。
医療機器に囲まれたジュンの顔は見ていられない程腫れ上がっていて、手足は原型を留めていなかった。
それでも虫の息で必死に生きようとするその姿に、おれは強く拳を握りしめて誓ったのだ。
絶対イツキを許さねえ、と。
怒りの矛先を向ける相手が違うかもしれない。
本当ならジュンをひどい目に合わせたWAVEを憎むべきだ。
しかし犯人はすぐに捕まり、おれはこの行き場のない悔しさをどうしてもイツキにぶつけたかった。
気が付いたらおれはプレハブに乗り込み、イツキの顔を見るなり殴りかかっていた。
お前のせいだ、と何度も何度も拳を振り下ろす。
イツキは抵抗することなく、ただされるがままだった。
――仲間を見捨てるような奴にチームを背負う資格はねえ。おれはお前を見損なった。
こうしておれはBLASTを抜けた。