B L A S T

「とにかく今はセイジの動きを探る必要がある。あいつは根に持つタイプだからまた前みたいにメンバーが襲われるかもしれねえ。特にイツキ、だ」


チャリ、とあのネックレスが揺れる。

楓はそれをぎゅっと強く握りしめた。


「…だからイツキさんを捜してるんだ」

「なあ嬢ちゃん。本当にイツキがどこ行ったか知らねえか?」

「もしかしたらガヤに聞けば分かるかもしれないけど…」


そう答えると、タクマは早速ケータイを取り出す。


「藤ヶ谷か。タクマだ。イツキのことだけどよ、今どこにいるか知ってるか?ケータイかけても繋がらねえんだ」


しばらくの間。

すると、タクマがため息を吐いた。


「それならちょうど良かった。悪りいけど今からイツキと一緒にプレハブに来れねえか」


どうやらガヤはイツキと一緒にいるらしい。

楓はほっと一安心する。

こういうことが彼らにとって日常茶飯事だということは知っている。

それでもやっぱり心配でたまらない。

もしイツキの身に何かあったらあたしは…──────。



「嬢ちゃん」


顔を上げると、話は終わったのかタクマはケータイをポケットの中に戻していた。


「大丈夫だよ」


そう言ってタクマがにっと口端を上げる。


「イツキは無敵だから心配することねえ」

「…うん」

「それにオレらには"無敵の楓ちゃん"もついてってからよ。イツキと嬢ちゃんがくっついたら最強なのにな」

「やだ。からかわないでよ」


楓が赤くなって言うと、タクマは大声を上げて笑った。
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