B L A S T
それから朝日が顔を出した頃にやっとガヤが戻ってきた。
「…あれ、イツキは?」
戻ってきたのはガヤ一人だけでイツキの姿はない。
ガヤは勢いよく赤いソファーに腰掛けると、静かに答えた。
「イツキは来ねえ。しばらくの間、おれが総長代理をやることになった」
えっ、とガヤを見やる。
ガヤの表情がどこか険しい。
イツキとなにかあったのだろうか。
「…どういうことだよ」
「それはおれからは話せない」
「なんだよそれ。意味分かんねえ」
納得がいかないタクマがケータイを取り出そうとすると、ガヤがそれを制した。
「タクマ」
ガヤの鋭い視線が、タクマを貫く。
「やめとけ。頼むからそっとしてやってくれ」
「そんなこと言われても理由を教えてくれなきゃオレだって納得できねえよ」
「分かってる。今は話せねえがいつかあいつがお前らに話す時が来る。だからそれまで待ってくれねえか」
ふいに、ガヤと目が合った。
けれどガヤはすぐに顔を逸らしそれからも目を合わせてくれなかった。
どうしたんだろう。
なんだかガヤの様子が変だ。
「…それで一体なにがあったんだ。説明しろ」
ガヤが本題を切り出すと、タクマは仕方なくケータイの代わりにあの手紙を取り出した。
「実はこんな手紙が来たんだ」
ガヤは眉をしかめながら便箋に目を通す。
塗りつぶされた赤にぴんときたようで、
「…セイジ、か」
と呟いた。
タクマがこくりと頷く。