B L A S T
Act.3
窓の隙間から、冷たい風が吹いた。
ぽつぽつと降り始めた雨の音は次第に強くなっていく。
楓はびくとも動けないでいた。
目の前にあるドアの向こうに感じる気配。
今動けば、その男に気付かれてしまう。
男は言った。
「黙ってないでなんとか言ったらどうだ。そこにいることは分かってるんだ。あんだけわめいていたら誰でも聞こえる」
とっさに両手で口元を塞いだ。
しかし勢い余ってポケットの中からケータイが落ちる。
しまった!
時は既に遅し。
がしゃん、と物音が虚しく響いた。
「やっぱり誰かいるんだな」
楓はがっくりと肩を落とした。
もう逃げる道はない。
ケータイを拾って画面を確認するが、いつの間にか電池が切れて暗くなっていた。
ガヤにちゃんと伝わっただろうか。
――LAST。
それがここのチーム名ならきっと、ガヤは助けに来てくれるはず。
そう願うしかない。