B L A S T
プレハブの壁全体を埋め尽くしたBLASTの落書きは結成時からのもので今ではすっかり色褪せている。
二階に上がるとタクマとテツ、それから赤いソファーに座ったイツキが険しい顔をして集まっていた。
「どういうことだ」
タクマがすぐさまポケットから茶封筒を取り出し、その中身をデスクの上でばらまく。
――写真?
それらを手にとると、おれは目を疑った。
写真のすべてに見慣れた顔が写っている。
暗闇の中、コンクリートにうつ伏せるようにして寝転んでいるその男はカズだった。
「…ンだよ、これ!」
どれもこれもカズの顔に殴られたような跡がある。
何者かに無理矢理髪を引っ張られ、苦痛に歪んだ表情は今にもうめき声が聞こえてきそうだ。
「今朝ポストに入ってた。消印がないから誰かが直接入れたんだろう。イツキの宛名だけで差出人の名前はなかった」
「ふざけたことしやがって…」
おれはデスクに写真を投げつける。
「それで犯人の目星はついたのかよ」
「ああ」
「どこのどいつだ」
「藤ヶ谷の考えているとおりだよ」
「…セイジか」
ああ、とタクマは頷くともう一通の茶封筒を差し出した。
「これが前に来た中傷の手紙。今回は写真だけでメッセージはなかったが封筒、それから宛先のところの字が一緒だ。同一犯であることは間違いねえ」
チッ、と舌打ちを鳴らす。
「懲りねえ野郎だ」