B L A S T
とうとう動き出しやがった。
あの中傷の手紙が来てから、いつセイジがどのように仕掛けてくるか分からない状況の中で用心はしていたが、まさかカズがさらわれていたとは。
予想外の出来事におれは驚きを隠せない。
と同時に悔しくもあった。
もっと早く異変に気付いてやれたら。
パレード以来、カズの姿を見かけずおかしいとは思っていた。
カズはいわばBLASTの幹部にあたる存在で、よく考えてみればあいつが無断で集会を欠席したりすることはありえないことだった。
タクマの話によると毎日学校に連絡を入れていたらしいが、もしかしたらその時からすでにセイジの手が回っていたのかもしれない。
何も知らなかったとはいえ、カズのことをもう少し気にかければよかったと後悔した。
だが、今は悔やんでいる暇はない。
「とにかく今はカズを見つけ出すことが先決だ。手分けして探すしかねえ」
テツがうろたえる。
「でもまだセイジのアジトも掴めていないのにどうやって探し出すスか。もうほとんど当たりましたよ」
「おい」
するとイツキが写真の一枚を指差した。
「見ろ。ここに写ってる金時計見覚えないか」
「金時計?」
薄暗くはっきりと見えないが、カズが地面に這いつくばっているその背景には確かに金時計が小さく写っていた。
よく見ると、その奥に噴水らしきものもある。
「どこかの公園みたいだな」
とタクマ。