B L A S T
「公園…」
金時計に、噴水。
言われてみればこの背景はどこかで見た記憶がある。
あれはどこだっただろうか。
記憶を辿るがなかなか思い出せない。
やがてテツがぽつり、と呟くように言った。
「そういえばあの事件も公園だったスよね」
あっ、とおれは声を漏らす。
すぐにタクマが持っていた地図をデスクの上で広げた。「ここだ」
「そうだ、旭ヶ丘公園だ。確かジュンが見つかったのはここだったよな」
世間では風化しつつある集団リンチ殺人未遂事件。
その被害者はジュン。
事件当初、何度も流れていたテレビのニュースで現場の旭ヶ丘公園がしっかりと写し出されていた。
金時計や、噴水。
写真の背景が記憶とぴったり当てはまる。
「間違いねえ。近くにWAVEのアジトがあったはずだ。セイジが潜んでる可能性がある。そこは当たったか」
テツは首を左右に振った。
「WAVEが解散してからあの場所は誰も出入りできないようになってましたから。聞いた話じゃ今も警官が巡回してるらしいスよ。潜伏は不可能じゃないスか」
「いや」イツキが言った。
「地下があったはずだ。元々防空壕だったらしいが、ジュンがリンチされる前にそこで監禁されたと話していた」
「あっそれオレも聞いた」
「よっしゃ、目星はついた。テツ、今から旭ヶ丘公園に行って調べてこい」
「了解ス。もしビンゴだったらその後はどうしますか?」
当然のように、テツやタクマの視線はイツキに集まる。
「今は彬が総長代理だ。こいつの指示を聞け」
とイツキはため息交じりに言った。