B L A S T
バン、と大きな音が室内に響く。
見るとガヤがドアを開けて、顎をしゃくる。
「楓は廊下で待ってろ。こっからはおれら男同士の話だ」
「でも…」
「いいから早くしろ」
「楓さん」ジュンが言った。
「今は、彬兄の言うとおりにしたほうがいいかもしれない」
楓は納得がいかなかった。
廊下に出た今も、ジュンの病室からガヤがジュンを責めている声が聞こえる。
どうしてあたしが邪魔者扱いされなきゃいけないのだろうか。
あたしだってイツキのことが知りたいのに。
あたしだって、イツキの仲間なのに。
胸元に手をやってから気が付いた。
そういえばあのネックレスはもうイツキさんに返したんだった。
なんであの時、返しちゃったんだろう。
イツキに嫌われていたとしても、あのネックレスが唯一彼と繫がることかできるたった一つの証なのに。
「…ぬかもしれないんだよ」
楓は302号室に目をやる。
それまで黙っていたのか聞こえなかったジュンの声がしたからだ。
「だって…もしかしたら死んじゃうかもしれないんだよ!」
ーーなに?
死ぬって、誰が?
「お前、思っててもそういうことは言うなよ」
ガヤがため息交じりに答えた。
「あいつは、…イツキは絶対に死なねえ」