B L A S T
「藤ヶ谷さん、今までどこ行ってたんすか。探したスよ」
プレハブに行くと、テツとタクマが揃って待っていた。
二人の手には金属バットが握りしめられている。
「ああ、悪りい。ちょっとジュンの病院にな。それよりセイジの動きはどうだ。なにか変化あったか」
「いや。恐らくあいつは何も気付いていねえ。狙うなら今夜だな」
「そうか。メンバーは集めたか」
「はい!とりあえず先回りして行かせました。こっちはいつでも突っ込む準備できてますよ」
「上等だ」
おれは壁にかけてあった黒の特攻服を羽織った。
もちろん背中の刺繍は“風神”ではなくBLASTの文字。
これを着るのはBLASTを抜けた時以来で、なんだか懐かしい気分だ。
「なあ、藤ヶ谷」
タクマが何やら暗い顔をしている。
「イツキはどうするんだ?」
ーー踏み込む時は教えてくれ。俺も行く。
イツキの決意した目が脳裏に浮かぶ。
「ああ。あいつは後から来るよ。あいつが来たら踏み込む予定だ」
とおれは答えた。
「そうか…」
タクマはまだ聞きたいことがあるような顔だったが、それ以上イツキのことを口出しすることはなかった。