B L A S T
Act.30
ーー俺の頭は爆弾を抱えてる。あと半年で爆発しちまう時限爆弾をな。
そう言ってイツキは病気のことを詳しく話してくれた。
正直頭の悪いおれはイツキの話はちんぷんかんぷんだったけど、唯一分かったことはイツキががんという病気であと半年しか生きられないということだ。
ーー嘘だろ。
現実を受け止めきれないおれに、あいつはただ本当だ、と呟いて否定しなかった。
おれはその時、なんでこいつはこんなに冷静でいられるのだろうかと思った。
あの甘い匂いのする煙草を吸いながら海を見つめるその姿は余命半年と告げられたようにはとても見えない。
だからおれは聞いた。
ーーなんでそんなに落ち着いていられるんだよ。
するとあいつはふっと鼻で笑った。
ーー苦しむだけ苦しんだから。