B L A S T
それは正に間一髪の出来事だった。
「彬!」
体中に衝撃が走る。
ガシャーン、と鋭い音を立てて硝子の欠片が飛び散った。
「…ッ痛え」
一体何が起きたのか。
訳が分からないまま目を開けると、辺りは原型を留めていないアルコール瓶が散らばっている。
そしてあっと驚いた。
イツキがおれを覆い被さるようにして倒れていた。
「イ、イツキ!」
そこでイツキがおれを庇ってくれたのだと分かった。
おれは慌ててイツキを抱き起こす。
その表情はとても苦しそうだ。
「おいイツキ!大丈夫かよ!」
まさかこんなことになるなんて。
相手はジュンを殺せと命じたあのセイジだ。
にも関わらず油断してしまった自分自身に腹が立った。