B L A S T
「てめえ!セイジ!よくもやりやがったな!」
おれは怒りの矛先をセイジに向けた。
セイジはソファに腰掛けて、悠々と煙草を吹かしている。
アルコール瓶で人を殴ったとは思えないぐらい、セイジは至って冷静な表情だった。
ーーこいつ…!
「ふざけんじゃねえぞ!てめえ!」
おれはセイジに殴りかかろうとする。
しかし、
「…待て、彬」
それはイツキの手によって止められた。
驚いて振り返ると、イツキは頭を抱えながらゆっくり起き上がろうとしていた。
「お、おい。イツキ、大丈夫かよ!」
「ああ…平気だ」
顔色がひどく青白い。
とても大丈夫だとは思えない。
おれが心配していると、イツキはふっと口元を緩めた。
「そんな顔すんなよ。ちょっと目眩がしただけだ」
そう言って立ち上がる。
どうやら間一髪のところでイツキもあのアルコール瓶を避けられたらしい。
おれは腰が抜ける思いだったが、イツキが無事だったことに安堵した。
「さて、と」
イツキは衣服に付いた砂埃を振り払う。
そして、その目は真っ直ぐセイジへと向けられた。
「そろそろ決着をつけるとするか」