B L A S T
「い、言ったけどよ…」
しどろもどろになるおれに追い討ちをかけるように楓のため息が聞こえた。
≪ちゃんと自分の言ったことに責任持ちなさいよ。イツキさんを止められるのはガヤだけなんだから≫
「…」
≪ちょっとガヤ!聞いてるの?≫
「聞いてるよ!…でもよ」
そこまで言っておれは押し黙る。
ーーお前じゃ無理だ。
情けないが、あいつのあの言葉は正直応えた。
今のおれにイツキを止められる力はねえ。
だったらもうあいつの好きなようにさせたらいいんじゃねえか。
そんな風に諦めかけている自分がいた。
≪…もういい≫
やがておれの煮え切らない態度に苛立ったのか、楓は呆れたように言い放つ。
≪もういい!ガヤが止めないならあたしがイツキさんを止めるから!≫
「はーー」
気が付いた時はすでに通話が切れていた。
ツーツー、と不通音が鳴り続けている。
「…んだよ」
なに考えてんだ、あいつ。
止めるって一体どうやって…。
煙草を吸おうとして、おれは留まった。
こぼれ落ちた灰が水たまりの中で溶けていく。
ーー止める…?