B L A S T
「…生きることが無意味な人なんて一人もいない。イツキさんは、必要な人なんだよ」
イツキの大きな手があたしの顔を包み込み、その手は微かに震えていた。
「馬鹿だろ、お前…」
ふふ、と楓は笑う。
馬鹿でいいもん。
イツキさんが無事でよかった。
それだけであたしはものすごく嬉しいんだから。
ちょっとだけでもいいから彼の役に立ちたいってそう思ってたんだから。
段々と視界がぼやけていく。
少しずつ、彼が遠のいていく。
「イツ…キ、さ、ーーー」
楓、と彼があたしを呼ぶ。
その声を聞きながら、あたしは意識を失った。