B L A S T

ふと、左手に温もりを感じた。



どこか懐かしくて、優しい温もり。


これは。

これは、誰のだったか。




ーー楓。




これは誰の声だったか。




ーー楓。




優しく包み込むような、その声。



ーー楓。




誰かが、あたしを何度も何度も呼んでいる。




ーー頼むから。




誰かが、泣いている。












ーー俺を独りにするな。











< 363 / 398 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop