B L A S T
Act.33
翌朝、BLASTのアジトに向かうと、早い時間にも関わらず体育館の中は千人余りのメンバーで溢れ返っていた。
「すごいね…」
数に圧倒されて楓はジュンの言葉にただ頷く。
「嬢ちゃん!ジュン!」
振り向くとタクマとカズが立っていた。
「久しぶり。もう外出て大丈夫?」
「うん。でも車椅子ってなにかと面倒だね。ここまで来るのに汗かいちゃった」
楓は周りを見渡しながら言った。「それにしてもすごい人だね」
「そりゃあ天下の二人のタイマンだからな。嬢ちゃんもそのために来たんだろ」
「うん。でもなんでまたこんなことになったのか…」
ーー明日の朝、イツキとタイマンで勝負することになった。
イツキはどういうつもりなんだろう。
今下手に動けばまた倒れてしまうことだってあるのに。
メンバー皆はふたりのタイマンがどんなものになるのか興味深々で来たのかもしれないけれど、あたしはイツキの体が心配で仕方なかった。
こんなことしたって何もならないのに。
やっぱり暴走族が考えることは理解不能だ。
「ケジメ、なんじゃねえのか」
見上げるとカズが煙草を加えながら、火を灯している。
楓は眉をひそめた。