B L A S T
Act.34
最後のパレードはいつもよりも盛大だった。
今夜のBLASTは誰もが浮かれていた。
体育館に面して何台も並べられたバイクと、丁寧に磨き上げたパールホワイトの車。
そしてBLASTの文字が大きく綴られた旗が風で揺れている。
「おいイツキ。ちょっと」
イツキと一緒にメンバーと話していたら、プレハブのほうからガヤが手招きしているのが見えた。
中に入るとリビングはガヤの他にタクマやカズとテツ、それから由希の姿があった。
「お兄ちゃん…」
由希は楓をちらりと一瞥してから言った。
「その様子じゃうまく行ったみたいね」
イツキは答える。「ああ」
「まったくお兄ちゃんは本当に頑固なんだから」
困ったように眉を寄せながらも、その口元は緩んでいた。
「どうせ辛い思いをするのはあなたたちなんだから。勝手にしなさいよ」
「由希さん…」
ふふ、と由希は微笑む。
「あとそれから、これお兄ちゃんにあげる」
そう言って差し出したのは少し厚みのある茶封筒だ。
イツキはそれを受け取り中身を見ると、驚いたように目開いた。