B L A S T
「お前、これどうした」
中身は数え切れないほどの万札が入っていた。
「手術にはお金がかかるんでしょ」
「でもこんな大金…」
「ちなみにそれ私からじゃないから」
「……」
「お兄ちゃんなら誰からか言わなくても分かると思うけど」
その言葉で感付いたのかイツキは黙って茶封筒を見つめた。
そしてそれを由希に返す。
「悪いが、これは受け取れない」
「お兄ちゃん…」
慌てて割り込んできたのはガヤだ。
「イツキ。お前ちゃんと中身見てみろ」
ガヤが由希の持っていた茶封筒の中から取り出したのはお金ではなく、一枚の便箋だった。
四つ折に畳んだ淡いピンク色の和紙。
「読んでみろ」
「…その必要はない」頑なに拒むイツキ。
「お前な、いつまでも意地張ったって仕方ないだろ」
「別に意地は張っていない」
「じゃあ読んでみるだけ読んでみろよ」
ガヤの真剣な眼差しに圧倒されたイツキは吐息をつきながら渋々と便箋を受け取った。