B L A S T
「ったく素直じゃねえな、あいつは」
やれやれと言ったようにガヤが腕を組んだ。
「うん」
ふふっ、と楓もつられて笑う。
顔には出さないけれどイツキが少し照れ臭そうにしているのがその背中から伝わる。
よかった。
きっと江原先生、喜ぶだろうな。
楓も自分のことのように嬉しくなった。
「イツキさん。これ、少ないスけどオレらからの気持ちス」
そう言ってまた茶封筒を差し出したのはテツだ。
それはテツがイツキのためにメンバーから一生懸命集めたお金。
その中にはもちろんあたしの気持ちも入っている。
「イツキさん。オレら待ってますから」
「テツ…」
「絶対帰ってこいよ」とタクマ。
「じゃなきゃオレが総長の座をもらうことになるからな」
「そうはさせねえよ」
すかさずガヤが突っ込みを入れると、カズが不機嫌そうに顔をしかめる。
「第一カズがリーダーになったらBLAST潰れてっから」
「ああ!?てめえに言われたかねえよ!」
どっと笑い声が起こる。
イツキはテツからもらった茶封筒を大事そうに握りしめた。
「ありがとうな、皆」