B L A S T

いよいよイツキを見送る最後のパレードが始まる。

次々と爆音が車の横を通り過ぎて行く。

個性が表れたプレーキランプが流れるその景色はまるで流星群のようだ。


「皆、本当に走ることが大好きなんですね」


ガヤも。
外で走っているメンバーも、テツも。

助手席のカズも、運転しているタクマも皆が少年のように目を輝かせてあどけない笑顔だった。


「そういえばメンバーが皆がイツキさんに救われたって言ってましたよ。イツキさんのおかげで生き返ることができたんだって」


するとイツキは窓の外に視線を置いたまま、「それは違う」と首を振った。


「救われたのは俺のほうだ」


パパン、と何かが破裂する音がした。

驚いて見るといつ用意したのか、スモークガラスの向こうでテツが欠けた歯を見せながらクラッカーを鳴らしていた。

それから「イツキさん最高!」と叫んでわざと蛇行運転をして見せる。

後ろを走っていたガヤと他のメンバーも続けた。


「やだ。皆危ないよー」


はらはらする楓をよそに、イツキはくっくっと肩を揺らしている。


「あいつら、馬鹿だな」
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