B L A S T

あたしは高校二年になった今もBLASTのアジトに足繁く通っている。

体育館の中から罵声が聞こえて中を覗いてみると相変わらずメンバーは卓球のラリーがいつまで続くか賭け試合をしていた。

よく飽きないなあと感心していたら、


「おいブス女」


背後から聞こえた身も蓋もない言葉にあたしはうんざりしながら振り返る。


「今日も来たのかよ」


出た。
大魔王カズのお出まし。


「おいおい、カズ。その言い方はないだろ」

「タクマさん」


楓はカズを無視して、タクマのところへ駆け寄る。


「どうですか、就職先」


高校を卒業したタクマは今某コンピューター会社に勤めているらしい。

毎日のように残業があるにも関わらず、たまにここに遊びに来てくれていた。


「まあまあってとこかな」


まさか自分がサラリーマンになると思っていなかったタクマは「結局落ち着いてしまった」と嘆いたけれど、楓はちゃんと働いているのだからそれでいいと思った。

そう。
誰かさんと違って。




「それでカズさんは就職先見つかりそうですか?」


楓が一瞥するとカズはうっと言葉を詰まらせた。
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