B L A S T

「あっそうか。カズさんまだ高校卒業できてないんだっけ。こりゃ失敬失敬」


返す言葉がないのか、カズは耳まで真っ赤にして楓を睨みつける。


「授業さぼって遊んでばかりいた罰ですよ」

「おいおい嬢ちゃん」

「自業自得ってこのことを言うんですねえ」

「おい。黙って聞いてりゃクソ女」

「クソ女って誰のことですか」

「調子乗るのもいい加減にしやがれ。その減らず口直さねえと海に沈めんぞ、オラ」


楓も負けじと眼光を光らせる。


「いいですよ。その代わりカズさんに拉致されたことがあるって警察に訴えますから。あれって今思えば犯罪ですよね。そうなったらカズさん高校卒業どころか退学ですよ、退学」


みるみるうちにカズの額に血管が浮き出る。

まるで茹で蛸みたいだ。


「ーーンの、クソアマ!」


楓の胸倉を掴もうとするカズをタクマが慌てて止める。


「落ち着け!カズ」

「もう我慢ならねえ。一発殴らせろ!」


まったくこれだから暴走族は血の気が多くて困る。

偏見かもだけど。
偏見だけど。


「嬢ちゃん。今のうちに逃げな」


タクマに言われたとおり、楓は逃げるようにその場を後にする。

いつまでも叫ぶカズのクソ女が空中にこだましてなんだか笑えた。
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