B L A S T
いいなあ。
タクマ。
カズ、はまあ置いといて。
ガヤも。ジュンも。
由季さんも将来の夢のために頑張っている。
みんな、ちゃんと前を向いて歩いてる。
…なんだかあたしだけ取り残されたようで少し寂しかったり。
でもあたしだって最近、「変わったね」って江原先生に褒められたし。
クラスの友達だって増えた。
だから少しは変われたかな。
階段を上がって部屋にたどり着くと大きく深呼吸をする。
扉の向こうで煙草の甘い香りに包まれながら、赤いソファーで横になっている寝顔が見えた。
柔らかな黒髪。
透き通るような白い肌。
少しだけ開いた赤い唇。
目元のほくろ。
それから長い睫毛。
Tシャツから覗く鮮やかな昇り竜。
王冠のネックレス。
それらはすべて何度見ても飽きない。