B L A S T
そこには憎き、タクマとカズ。
彼らがすさまじい形相でこっちに向かって走ってくる。
特にカズ。
「このアマ!なに逃げてんだ!くそが!」
やばい。
追いつかれる。
また拉致られる!
しかし運のいいことに校門はすぐ目の前。
あそこは毎朝先生が見張っているし、中に入ってしまえばこっちのものだ。
頑張れ、無敵の楓チャン!
「嬢ちゃん!」
校門まであとわずか。
先生の姿が見えた。
やった!
ビバ!無敵の楓チャン!
「嬢ちゃん、オレらなにもしねえって」
「そんな嘘、誰も信じないから!」
いつの間にか後ろにカズの姿はなく、タクマ一人だけが走っていた。
情けない。
カズはもうバテたのか。
そして校門まであと一歩というところで先生に助けを求めようとしたとき、タクマが大声で叫んだ。
「オレら忘れ物届けにきただけだよ!」
…忘れ物って!
だから誰がそんな嘘信じるっていうのよ。
少しはマシな嘘ついてよ。
忘れ物って。
暴走族が忘れ物届けるって。
忘れ物…
――ワスレモノ!?
楓は慌てて足を止め、振り返った。