B L A S T

楓は必死になって抵抗するも男の力にかなうはずがなく、あっという間に車の中に乗せられてしまう。


「女。よくも逃げやがったな。散々手間とらせやがってこちらとら暇じゃねえんだよ」


運転席では"怒"のオーラを漂わせているカズが待ちかまえていた。


「おい代われ。お前運転ヘタクソなんだよ」


チッ、とカズは舌打ちを鳴らしながら渋々と助手席に移り、タクマが運転席に乗り込んだ。

いつだか運転の仕方でその人の性格が分かると聞いたことがあるけれど、カズがいい例だと思った。


「ヘタクソで悪りかったな」

「そう拗ねんな。万が一事故でも起こしたらイツキにバレる。二度もアシ使ったことが分かったらさすがのイツキも黙っちゃいねえことお前も分かってんだろ。気付かれる前にとっとと終わらせんぞ」

「メンドクセーな、もう」


勢いよく車が走り出し、楓は諦めたようにシートに深く座り込む。

これで二度目の拉致。

最初の危機感がまるで感じないのは経験からなのだろうか。

それともタクマとカズが思っていたより怖くないことを知っているからだろうか。

それにしても終わらせるって何を!?

やっぱり何かされるわけ?

楓はポケットの中に入っているケータイを強く握りしめて、いつでもスタンバイができるようにした。

何かされそうになったらガヤを呼んでやる!
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