B L A S T
Act.5

時計の針は朝の八時を差している。

ブルル、とエンジンのかかる音がした。

向かいの車庫でヘルメットを被るガヤの姿がカーテンの隙間から見えた。

朝日に照らされて髪の毛がオレンジ色に輝いている。

ガヤは日曜日になると、決まってどこかへ出かけていた。

楓の知る上ではきっと毎週一度も欠かしたことがないだろう。

以前ならガヤがどこへ行って何をしようが、また遊びに出かけるのだろうと全く気にとめていなかった。

まさか彼のその行動に意味があるなんて思わなかったから。

バイクのエンジン音が離れていく。

段々と小さくなる彼の背中を楓はずっと見つめていた。
< 57 / 398 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop