B L A S T
Act.5
時計の針は朝の八時を差している。
ブルル、とエンジンのかかる音がした。
向かいの車庫でヘルメットを被るガヤの姿がカーテンの隙間から見えた。
朝日に照らされて髪の毛がオレンジ色に輝いている。
ガヤは日曜日になると、決まってどこかへ出かけていた。
楓の知る上ではきっと毎週一度も欠かしたことがないだろう。
以前ならガヤがどこへ行って何をしようが、また遊びに出かけるのだろうと全く気にとめていなかった。
まさか彼のその行動に意味があるなんて思わなかったから。
バイクのエンジン音が離れていく。
段々と小さくなる彼の背中を楓はずっと見つめていた。