B L A S T
間が空く。
チッ、と舌打ちが鳴った。
「そんなことお前に関係ねえ。お前は黙ってオレらに従ってりゃいいんだよ」
―――は?
楓は眉をひそめる。
ふんぞり返っているカズの姿を見て、それが人にものを頼む態度ですかと目を疑った。
このひと。
やっぱ感じ悪!
タクマが呆れた顔をして頭を抱えている。
「カズ。そういう言い方はねえだろうが。大体ちゃんと説明しないことには嬢ちゃんだって動けるもんも動けねえよ。ちっとは考えてからもの言えや」
「――ンだとッ」
一瞬にして空気がピリッと張りつめた。
まさに、一触即発。
しばらくタクマとカズの睨み合いが続き、楓はその間縮こまっていた。
これだから暴走族は血の気が多くて困る。
偏見かもだけど。
偏見だけど。
「とにかくお前は黙ってろ」
やがてタクマがため息交じりに呟くと、カズは不満そうにしながらも言われたとおり、黙って煙草をふかした。
「嬢ちゃんの言うとおりだ。あいつらが不仲のワケはある事件が絡んでる」
と気を取り直してタクマが口を開いた。
「藤ヶ谷はもともとオレらBLASTの仲間だった。でも一年前、その事件がきっかけで藤ヶ谷が抜けると言ってきたんだ。あの男は腕っ節がいいからな。噂を聞きつけた"風神"にすぐ引っ張られて今や関東のトップ候補だ。聞いたときゃたまげたもんよ」
「…はあ」