B L A S T
――あの男もジュンもくそだ。
それにしてもカズの口から出たジュンという名前。
一体誰のことだろう。
そう思っていたら、タクマが心の内を読んだようにすぐ答えてくれた。
「ジュンはその写真に写ってる男だよ」
と言って指さしたのは楓が気になっていた三人の男の写真。
右は、ガヤ。
左は、イツキ。
そしてその二人に挟まれた小さな少年が口を大きく開いて無邪気に笑っていた。
この人が、ジュン。
イツキと同様、普通の男子にしか見えない。
ウェーブがかかった栗色の髪。
透き通った色白の肌。
くりっとした大きな瞳は髪の毛と同じ色をしている。
その表情はまだあどけなく、彼だけ有名私立中学の制服を着ていた。
タクマが口を開く。
「嬢ちゃん、一年前のあの事件のこと覚えてっかな。地元じゃけっこう騒がれてたはずなんだけど」
楓は首を傾げた。
「なんですか?」
するとタクマは苦虫を噛み潰したように眉を寄せあげる。
「集団リンチ殺人未遂事件っつーんだけどさ」