B L A S T
「リハビリ大変そうですね」
と言うとジュンは首を振った。
「そうでもないよ。そっか。僕がここにいる理由知ってるんだね。まったく彬兄はおしゃべりだなあ」
「あっガヤじゃなくて――」
そこで楓は口を噤んだ。
危ない。
危ない。
今は"風神"のメンバーがいる。
ここでタクマやカズの名前を出せば、いろいろ面倒なことになるところだった。
「彬兄のおしゃべりはもう慣れたけどさ。でも僕後悔してないよ。WAVEのチームに入ったことも、こんな体になったことも。嫌じゃないと言えば嘘になるけど後悔はしてない」
「でもあんなひどい目にあったのに…」
「うん。僕だってこう見えても男なんだからやり返せなかったことは悔しいよ。だから今は頑張って訓練して歩けるようになったら、こんな体にした奴らのところに殴り込みに行ってやるんだ」
「な、殴り込みって」
外見からはまったく想像できない言葉がジュンの口から出たことに楓が目を丸くしていると、
「――って彬兄が言ってた」
にひひ、とジュンは白い歯を見せた。
ですよね。
こんないたいけな少年が殴り込みだなんて行くわけないですよね。
まったくバカガヤめ。
それにしても彼に裏の世界は似合わない。
イツキが彼をBLASTのメンバーに迎え入れなかったことに激しく共感してしまった。