B L A S T
ふいにチャリッ、と金属音が鳴った。
楓はあっ、と声を漏らした。
それはジュンの首元で揺れた銀のネックレス。
「それってもしかして」
何度も見た王冠のモチーフを指差した。
「あっこのネックレスのこと?うんそうだよ。彬兄とお揃いなんだ。あともう一人お揃いの人がいるんだけどね」
そこまで言って、ジュンはなにやら"風神"の見張り役に目配せをする。
それに答えるように男は小さく頷いた。
「はい。自分はここで失礼します」
「ごめんね。ありがとう」
「いえ。何かあったら呼んでください」
と男はそそくさとその場を離れた。
「それでね、もう一人は芦本一樹っていって僕は一兄って呼んでるんだ」
イツキの名前が出て、楓は男が去ったことに納得がいった。
あくまで男は"風神"のメンバーだ。
そのメンバーの前で敵対しているチームのリーダーであるイツキの話は御法度なのかもしれない。
「楓さんは一兄のこと知ってる?」
その問いに、楓は頷いた。
そっか、とジュンは背もたれに体を預ける。
二人っきりになった今が手紙を渡すチャンスだ。
「実はあたし、タクマとカズに頼まれてここに来たんだけど」
話を切り出すとジュンはえっ、と目を見開いた。
「タク兄とカズ兄も知ってるんだ。楓さんってBLASTのメンバーとも関わってるの?」
「まあ顔見知りってことかな」
まさか彼らに拉致されたことありますなんて言えやしない。
はは、と楓は力なく笑った。
「タク兄とカズ兄か。なんか懐かしいなあ。もう一年近く会ってないや。元気にしてる?」
「うん。それはもうありあまるぐらい」
「ならよかった」