B L A S T

楓は彼に近付こうとするか、三人のメンバーが彼を囲んだために身を潜めた。

なにやら三人全員が深刻そうな顔だ。

楽しい話題ではないことは見て明らかだった。

何を話しているのだろう。

気になった楓は忍び足で舞台袖のほうから回り、彼らの近くに止まる。

小さくだけれど声が聞こえた。


「総長、お願いしますよ」


メンバーの男一人が手を合わせている。


「全国制覇の夢どうするんですか。まだ夢果たしていないのに解散なんてひどいですよ」

「総長が辞退しなければBLASTは解散しないんです。総長はまた新しくBLASTを立ち上げればいいって言いますけどオレらは芦本一樹っていう総長の元で全国制覇を成し遂げたいんですよ」

「お願いですから考え直してもらえないですか?」


どうやら彼らはBLASTの解散を巡って、イツキにお願いしているらしい。

長い沈黙が続いていた。

メンバーが揃ってイツキに期待の目を向けているが、当の本人は素知らぬ顔で煙草を吹かしながら遠くを見つめていた。
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