B L A S T

イツキはため息を吐くと肩を落とした。

その広い背中がやけに小さく感じる。


――一年前だっけ。ジュンがリンチされた事件。まだあの事件のことで責任感じてんのかな。


メンバーの人が言っていたとおり、彼はやっぱりあの事件のことを気にしているのだろうか。

ジュンを止めることができなかった自分を責めているのだろうか。

でもジュンは言っていた。


――僕はあの事件が起きたことを一兄のせいだなんて思ってないんだ。僕が悪かっただけで。




「あの、」


昇り竜のタトゥーが振り向く。


「あんた…」


予想以上の反応で、彼は目を丸くしてあ然としていた。


「あっいやその、えっとお邪魔してます」


すると血相を変えたイツキがきょろきょろと辺りを見渡す。


「またあいつらか」


恐ろしく低い声に楓は一瞬たじろいだ。

あいつらとはタクマとカズのことだろう。

慌てて否定する。


「違います。あたしが勝手にここに来ました。ちょっとイツキさんに用があって」

「俺に?」
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