B L A S T

生温い風が髪をなびかせる。

次々と通り過ぎていく景色はやっぱり寂れた街を映し出していた。

楓は目の前の広い背中に視線を移す。

一体どこに行くのだろうか。

てっきり家まで送ってくれるのかと思っていたら今向かっているのは正反対の方向だ。

やがて山奥に入り、楓は不安を募らせた。

こんな人気のないところに来てどうするのだろうか。

そういえば先月のニュースで若い女性が山奥に置き去りにされる事件があったような。

…まさかね。

ざわざわと葉っぱが揺れ動いて鼓動が高鳴る。

もう嫌だ。

やっぱりタクシー呼ぶなりして一人で帰ればよかった。

しかし楓の不安をよそに、バイクは走り続けている。


「着いたぞ」


その声と共に山道を抜け出したとたん、目の前に広がった光景にあっと驚いた。

そこはなんてことないただの公園。

そして月夜の空に今まで見たことのないような無数の星屑が散らばっていた。
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