B L A S T
「わあ、きれい…」
楓は感動のあまり言葉を失う。
しばらく星なんて見ていなかった気がする。
まるでプラネタリウムに来たようだ。
夢中になってしばらく空を見上げていると、目の前に缶ジュースが差し出された。
偶然にも、楓の好きなミルクティー。
「機嫌良くなったか」
そう言ってイツキは口元に笑みを浮かべる。
楓ははっと我に返り、そこでイツキの意図が分かった。
きっとイツキは楓に気を使ってここに連れてくれたのだろう。
そのおかげで、さっきまでの怒りや不安が吹き飛んだのだけれど。
自暴自棄になって彼を疑ってしまった自分の幼稚さを恥ずかしく思った。
ベンチに座っていた楓の隣で、イツキはミネラルウォーターを飲む。
「タクマとカズが悪かった」
楓は慌てて手を振った。
「いえ。イツキさんが謝ることじゃないですから」
悪いのはタクマとカズだ。
次に会うことがあったらうんと文句言ってやろう。
「あいつらも悪気はないんだ。ジュンのことよく可愛がってたからな。会えなくて寂しいんだと思うよ」
楓は以前タクマとカズに会ったときのことを思い出した。
――解散する前にもう一度昔に戻りてえんだよ。何も考えねえで仲間と一緒にバカやって笑ってたあの頃にな
もしイツキの言うことが本当なら、あの言葉に偽りはないのかもしれない。