B L A S T
それ以上イツキが口を開くことはなかった。
面倒ということは、やっぱり事件のことで責められるのが嫌なのだろうか。
でもそれは関係ないと言っていたし。
彼の考えていることが今ひとつ読めない。
一体なぜ、彼はジュンと会うことを頑なに拒むのだろう。
もしかしたらBLASTを解散することもそのことに関係があるのかもしれなかった。
まだ附に落ちない点はあったものの、口を閉ざしたままのイツキにもはや追求する術はない。
楓は諦め、温くなったミルクティーを飲み干す。
ふいに柔らかい風が吹いて、彼の髪が揺れ動いた。
鼓動が高鳴る。
景色を眺める横顔は月明かりに照らされて白く輝いている。
その愁いのある瞳の奥に何かが隠されているような気がして、楓はイツキから目が離せないでいた。