B L A S T

それから楓はコーヒーを二杯ご馳走になったあと江原先生の後押しでなんとか授業を受けた。

終業を告げるチャイムまであと30分というところで、スカートのポケットに入れていたケータイが震える。

きっとガヤからだ。

迎えに来るときはメールで知らせるように頼んである。


≪校門にいる≫
≪もうすぐ着く≫


いつもならそういった内容なのに今日は違った。


≪悪い。先帰って≫


楓はため息を吐いた。
また喧嘩か。

こういうことは初めてじゃなかった。

ガヤが迎えに来ないときは必ずといっていいほど喧嘩が原因だったりする。

ガヤの通っている高校は不良のたまり場としても有名で、しかも生徒同士の折り合いが悪く、喧嘩が常に絶えないところだと噂で耳にしていた。

こないだ深夜に帰ってきたかと思えば、ガヤは目の回りに赤いあざをつくって


「あっちが睨んできたから」


と一般人には到底理解できない理由で人を殴ってきたというから驚いた。
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