B L A S T
Act.8
一瞬の出来事だった。
チャリッ、と金属が重なる音が聞こえる。
同じネックレスを身に付けた彼らはお互いを強く睨みつけたまま、微動だにしない。
柔らかい風が吹いた。
その風に後押しされるように、ガヤが拳を振りあげたときだった。
「総長。ここで揉め事を起こせばサツに捕らわれます」
いつの間にいたのだろう。
北村誠二、セイジがガヤの腕を掴んでいた。
チッ、と舌打ちが鳴る。
ガヤは納得のいかない表情でセイジの手を振り払う。
それからイツキから離れたと思ったら、いきなり彼の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
「何でてめえが楓と一緒にここにいるんだ」
その鋭い目つきは敵意剥き出しだ。
楓は慌てて仲裁に入った。
「ガヤ、それはあたしが勝手に」
「お前は黙ってろ」
恐ろしく、冷たい声。
イツキを睨むつけるその姿にいつものガヤはいない。
「…何でもいいだろ」
イツキが静かに呟いた。
彼の黒々した瞳もまた冷たかった。