B L A S T
間が空いた。
セイジが心配そうにガヤの顔色を伺っている。
あっ、と気付いたときにはもう遅かった。
ガヤは顔を伏せて、静かに呟いた。
「勝手にしろ」
夜中に関係なく、向かいの家から勢いよく玄関を閉める音が響く。
近所迷惑だっつーの。
なんであっちが逆ギレするわけ?
キレたいのはこっちのほうだっつーの。
むかつく。
むかつく。
「楓サン、総長は楓サンのことを思って」
「だからそれが嫌なの。もう帰ってよ!」
楓はセイジを押しのけ、ガヤに負けじと自宅の玄関を閉めた。
あたしもたいがい近所迷惑だ。
なんだか不完全燃焼な気分。
心のもやもやが晴れなくてすっきりしない。
頭を冷やそうとすぐに浴室に向かった。
しかし大好きなアロマの香りに包まれながら湯船に浸かっていても、なかなか気持ちが静まろうとしない。
ふと、ガヤのことが思い浮かんだ。
――あたしガヤのそういう意地っ張りなとこ大嫌い。少しはイツキさんの気持ち考えなよ!
あの時一瞬だったけれどガヤは傷付いた顔をしていた。
ちょっと言い過ぎたかな…。
少し後悔するものの、楓はそれを振り払うように頬を叩く。
あたしの言っていることは間違ってないと思う。
イツキを邪険に追い払ったことをガヤはきちんと反省するべきだ。
いくら幼なじみでも甘やかしちゃいけない。