蒼翼記
目の前に現れた相手はリンはおろか、クロスメイアスよりも遥かに巨大な身体をもっていたのだ。

石の鎧のような物で覆われ顔は見えないが身体は茶色い剛毛に包まれている。
ざっと見たところ身の丈はリンの3倍、身体の幅に至ってはクロスメイアスの全長程ある。

鎧熊、ゴースヴース。
この領域で暴れ狂う暴れ者だ。



しかしリンは泰然としたもので、羽根を一つ抜き硬化させた。


「アナイトセタ。我が背の上へ」

クロスメイアスに言われた6匹はいそいそとその背に登る。

次の瞬間、


ドガァンッ!!

一拍前にリンが立っていた箇所にゴースヴースの剛拳がめり込んでいた。


「リンは何処だ!?」
「「何処にいる!?」」

耳元で甲高い声を出されたクロスメイアスが唸り声をあげる。

リンをずっと目でおっていたアキは彼を追ったまま空を見上げていた。

ぽつりと、呟く。




「空に映えるねぇ」
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